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【開催報告】シンポジウム2024「明日の変環社会」(2024/11/6開催)
令和6年11月6日(水)に、セキュアでユビキタスな資源・エネルギー共創拠点シンポジウム2024「明日の変環社会」を開催しました。会場FUJIホール(名古屋大学 EI創発工学館)とオンラインを合わせて約200名の方にご参加いただき、盛況のうちに終了いたしました。
シンポジウム報告
本拠点は、市民自らが資源・エネルギー生産に参加する、資源・エネルギー自立型共創社会を目指して研究開発を推進しています。拠点ビジョンにもある「変環」をキーワードに、これまで未利用だった資源・エネルギーを使えるものに「変換」し、社会に「循環」させる取組みを行っています。
しかし、技術があるからといって「変環」が実現できるわけではありません。今回のシンポジウムでは、専門性(技術)をもちながら社会課題の解決に挑むゲスト5名と共に、元名古屋テレビアナウンサーの南雲穂波さんの全体進行のもと、変環社会の実現に向けて拠点に必要なことについて議論を行いました。
■拠点の活動紹介~変環社会に向けて~
松田亮太郎拠点長より、変環社会に向けた拠点の取組みとして、岡山県西粟倉村での資源探索ワークショップ、長野県白馬村での二酸化炭素回収と自然エネルギーを活用したメタネーションの実証実験、社会に変環マインドや技術を広める教育プログラム・アプリ開発が紹介されました。また、拠点が目指す変環ライフスタイルのイメージの共有とともに、拠点の活動を広げていくための仕組みづくりや人材をどう育てていくかを産学官民で取り組んでいることが報告されました。
(グラフィックレコーディング)
本拠点の活動紹介(松田拠点長)
続いて、研究開発課題5リーダーを務める宇治原徹教授より、本拠点が進める人材育成とは、変環技術を使える人を育てるというだけではなく、専門性(技術)と社会を繋げて考えリードしていく実践型Visionary Leaderの育成を目指していること、そして今回のシンポジウムでは現場(フィールド)で活躍するゲストとともに”変環”技術が社会に受け入れられていくために必要なことを考えていきたいというねらいをお話ししました。
(グラフィックレコーディング)
本シンポジウムのねらいについての報告(宇治原教授)
■地域の社会課題解決に取組むゲスト5名による活動紹介
①小澤巧太郎氏(合同会社XENCE)
3Dプリンター技術を活用し未利用の木材資源で建築に取組むプロジェクトを紹介いただきました。社会に技術を実装していくには、フィールドに出て発想・技術・社会(制度)を合わせて考えていくことが必要との指摘もあり、変環を生み出すアクションへの問題提起となりました。
(グラフィックレコーディング)
②森下有氏(東京大学 memu earth lab, 資源再読機構)
北海道をフィールドに多様な分野・世代の方とコミュニケーションを図りながら“新しい関係性の建築”に取組んでいる事例をお話し頂きました。地域の資源循環を考えるには、地域の複雑な関係性の中で生きることをデザインすること、またフィールドで得られる知も同時に循環させ共有させることも重要であることを示唆頂きました。
(グラフィックレコーディング)
③水口晶氏(郡上エネルギーソリューション)
郡上市をフィールドに地域の中でエネルギーを循環させていく取組みを紹介いただきました。地域のプレイヤーと共に、地域の課題・現状を踏まえ模索しながらも新たな事業に挑戦していく取組みについて取り上げて頂きました。
(グラフィックレコーディング)
④前田遥介氏(WOTA株式会社)
世界の水問題に対して誰もが取組めるようにするという挑戦、小型化した水循環システムの製品開発を行い、現在に至るまでの事業展開について紹介いただきました。国内の災害被災地で、排水をシャワーや手洗いに使える水循環システムを提供した事例や、住宅向けの小規模水循環システムのビジネス展開についてお話し頂きました。
(グラフィックレコーディング)
⑤豊永翔平氏(株式会社Cultivera)
気候変動が深刻化する現代においていかに農業を安定させるかということを課題に対する取組みを紹介いただきました。技術・研究開発によって水、エネルギー、肥料をオフグリッド化させ、食糧生産システムの革新な挑む取組みを紹介頂きました。
(グラフィックレコーディング)
■パネルディスカッション
現場(フィールド)の山の中を再現した会場で、宇治原教授をモデレーターに、松田拠点長とゲスト5名でパネルディスカッションを行いました。
パネルディスカッション:左から宇治原教授、松田拠点長、小澤氏、森下氏、水口氏、前田氏、豊永氏
パネリストからは、現場の課題に取組むためには「現場の複雑さを理解し、多様な人が入ってこれる余白をもっておくこと」「取組みには楽しさがないと続かない」との意見や、すでに課題が顕在化している地域では住民も変化を求めており、そういった人々に繋がることができると課題解決に向けて進んでいきやすいという経験についてもお話しがありました。
また、消費側に慣れてしまった人々にとって生産現場が非常に遠くなり、現場の状況がでどんな問題が起きているのか分かっていないという現状から、「消費者と生産者を近づけていくこと」が次のライフスタイルを生み出すきっかけになるのではという拠点への示唆もありました。両者を近づけるには技術や社会課題の押し付けではないアプローチが必要で、本拠点が今後検討すべき視点についても共有されました。
最後に、現場(フィールド)ではどのように人々を巻き込むか、どう都市部と繫がっていくのかという課題がまだまだあり、こうした課題を大学に相談できたり、一緒に解決に向けて取組むことができればより楽しくなるということ、また学生にもどんどんフィールドに出てほしいというパネリストからの期待についてもお話し頂きました。
今回のシンポジウムでは、株式会社たがやす様によるグラフィックレコーディングを取入れ、ゲストの話やパネルディスカッションでの意見を可視化しながら進めました。シンポジウムで変環を生み出すアクション重要な要素を今後さらに深掘りし、拠点活動へと反映させて参ります。